ドラマ「宮(クン)」でみる伝統競技 撃球(キョック)と撃棒(キョクバン)とは?
ドラマ「宮クン」の中でシン君とユラが2人で馬にのって“ポロ”のような競技をしていたものが韓国の武芸『撃球(毬)キョック』というもので、チェギョンがしていたゴルフのような競技が『撃棒(キョクバン)』という遊びです。
馬上撃球は歴史ドラマではよく武官がする競技として試合をする場面がでてきます。
撃球(キョック)/馬上撃球
○撃球の起源と伝統
撃球(キョック)は韓国伝統の武芸競技で撃球=キョックとといえば通常、馬上撃球(馬に乗って行う)のことをいいます。
イギリスのポロ競技に近いものがあり、もともとペルシアから中国の唐を経て朝鮮半島の高句麗、新羅に伝わったとされています。その後高麗時代や朝鮮時代に盛んに行われるようになり、日本には平安時代に伝わっています。
高麗初期は宮中で王や王族中心の競技でしたが中期になると武官に広まり、末期には端午の節句に若い武官や貴族の子弟たちによって王が臨席する競技大会が開催されるほどになりました。
朝鮮王朝時代では初代・李成桂は撃球の熟達者として知られ、第4代世宗の時には武官登用試験の科目に採用されると風俗的競技から“武芸”として軍事訓練の様相をもってきます。その後朝鮮末期には民間にも広がり遊戯的な撃球へと変化します。現在では一般的に行われることは少なくなり、民間伝統的に行われたり祭りの一部として行われることで残っている。
○撃球の競技の仕方
基本的な競技のルールは杖匙(チャンシ)という匙状の棒を使い、木の球を敵の毬門(クムン)へ入れる。数人のチームに分かれて行う。毬門(ゴール)が1つの場合と対に2つの場合があり、ゴールが1つの場合は球を複数使用し球をチャンシで持ってゴールを通過した数が多いほうが勝ちである。球の運搬中に敵を妨害(攻撃)してもよい。球を落とさずにゴールまで持っていけるほど高得点となる。
ゴールが2つの場合はアイスホッケーのように、1つの球をお互いのゴールに入れた方が勝ちである。対戦競技としては2ゴールのほうが負傷者が出るほどハードで、よくドラマである競技シーンもこちらの対戦が多いです。
※日本では1ゴールの打球が宮内庁と青森県八戸市の神社で行事として行われているようです。
撃棒(キョクバン)、打毬(タグ)
○撃棒(打毬)の起源
撃球の一種で地上で行うミニゴルフ、ゲートボールに近く、高麗時代に盛んに行われた。李氏朝鮮初期ころから王室で行われるようになり、宮廷競技として定着した。
○撃棒の競技の仕方
匙のような棒で木球を打ち、地面に掘った小さい穴に入れる競技。目的の穴に1打で入れることができれば2点、複数回になれば1点となる。相手が1打目で入ると後の人はお休み。1打目ゴールの回数に比例してお休みの回数が増えていく。高得点で早くゴールした人が勝ちとなる。(ルールは諸説あります。)