「不滅の恋」のイ・フィのモデル安平大君(アンピョンテグン)と史実上の人物関係
韓国ドラマ「不滅の恋/大君」は李氏朝鮮前期の第7代世祖が王位につくまでの時代背景をもとにした歴史時代劇ドラマです。
ドラマに登場する人物は実在の人々の史実に基づいて、フィクションを取り入れた人物設定となっています。2
人の大君(テグン)イ・フィとイ・ガンは、第4代世宗の息子たちがそれぞれモデルになっています。また周りを固める人物も実在の人物で勢力関係もほぼ史実と同じ設定です。
ただ2人の大君から愛される女性のジャヒョンは実在の人物ですが、モデルとされた人物は大君との関係がドラマとは違っています。
では、ドラマの登場人物とモデルとなった実在の人物をみていきます。
イ・フィのモデルは4代世宗の三男・安平大君(アンピョンテグン)
一途にジャヒョンを愛するイ・フィのモデルは、第4代世宗の三男の安平大君(アンピョンテグン)です。第5代文宗(ドラマ中で亡くなった王)は同母の兄弟になります。
ドラマと同様、穏やかな性格で芸術肌だったことが記録されています。特に詩、書、画の三つすべてに秀でて「三絶(サムジョル)」と呼ばれ、カヤグム(朝鮮の琴)などの音楽の才能もあった。
政治にはあまり興味がなかったが、若くして王になった端宗を支える側にいました。そのため兄の首陽大君(スヤンテグン)をけん制するために、朝廷の勢力に加担させられたというのが一般的な見方となっています。
史実では1453年クーデター癸酉靖難(ケユジョンナン)の際に首陽大君に敵対する勢力の一派として、謀反の罪を着せられ江華島に流刑となり、のちに賜死(王から毒をもらう=服毒処刑)しています。
イ・ガンのモデルは第7代世祖になった首陽大君(スヤンテグン)
イ・フィの兄で同じ女性を愛するイ・ガンのモデルは、第4代世宗の次男の首陽大君(スヤンテグン)です。第5代文宗は同母の実兄(長男)、第6代端宗は甥、安平大君は実弟です。かなりの野心家だったが、世宗の死後、急速に弱まっていた王権を復活させるために王族には人気があったようです。
事実ドラマの中でガンの伯父で助言者のヤンアン大君は第4代世宗の兄の譲寧大君(ヤンニョンテグン)がモデルとなっており、史実でも首陽大君のクーデターを支持し、第6代端宗の賜死にも同意したとされています。
クーデター癸酉靖難(ケユジョンナン)の首謀者で、もともとは王位をつぐ身分ではありませんでした。王になるための正式な冊封を経ていないため王位に付いたことを認めない者も多かったとされています。
ソン・ジャヒョンは実在した美女。安平大君との関係とは?
2人の大君から愛されるソン・ジャヒョンはまったくのフィクションではなく、実在した人物です。ただドラマの中のイ・フィ(安平大君)との関係は若干違っています。この人物関係の基になっているのが、ジャヒョンの父ソン・オクの娘ということから探ればわかります。
この時代、特に位の高い女性は名前があっても名乗らない(表記されない)ことが多く、ジャヒョンもドラマの中の名前で史実の記録にはありません。そのため女性は父親の名前+娘、王族は本貫+姓あるいは諡号(しごう:死後に付ける称号)で表すようになっています。
ソン・オク(成抑)も実在の人物で、その娘は第4代世宗の同母の兄弟で末弟(四男)の誠寧大君(ソンニョンテグン)の妻(昌寧成氏)となった女性です。
史実での安平大君はこの誠寧大君の養子となっています。誠寧大君は若くして(14歳)亡くなり、悲しんだ第3代太宗がその年生まれた安平大君を誠寧大君の養子にしました。つまり現実ではジャヒョンはイ・フィ(安平大君)の継母になります。
ドラマではこの関係をフィクションとして人物設定を行っています。