「明蘭」あらすじ・相関図・キャスト・時代背景
中国歴史ドラマ「明蘭-才媛の春ー」は、中国の宋(北宋)時代の官僚一族の繁栄に社会の変化や発展を投影し、その中で家族のあり方や女性の生き方を描いた時代劇ホームドラマです。
2018年末-2019年の視聴率第1位になった人気ドラマで、放送当時は動画再生回数118億回を記録した大ヒットドラマでもあります。2020年上半期累計再生回数は137億回になっています。
主演のチャオ・リーインとウィリアム・フォンはこのドラマの放送後に結婚を発表し、実生活では本当の夫婦となったことでも話題となりました。ドラマでは結婚前の2人の息のあった納得の演技を見ることができます。
また、このドラマを制作したのは神劇といわれる「琅琊榜(ろうやぼう)」の制作会社で、派手さや大波乱劇はないけれど、当時の世相や人々の日常など丁寧に描かれていて、見る側にとっては安心感と見終わってからの爽快感が味わえる秀作となっています。さすが「琅琊榜」のドラマを制作しただけあります。
>>>「瑯琊榜/ろうやぼう」あらすじ・相関図・キャストを見てみる
そのこだわりは、ドラマの衣装やメイク、セットだけでなく、夜の場面では当時の雰囲気を忠実に再現するために照明をすべてろうそくにするという徹底ぶり。使用されたろうそくは300本以上といわれています。
もくじ
ドラマ「明蘭」を楽しむ見どころ、知っ得ポイント
北宋時代の情景はこのドラマの題名(原題)にも表れていて、中国の現代は『知否知否应是绿肥红瘦』で、これは北宋の女性詩人、李清照の「如夢令:昨夜雨疏风骤」の一説を引用したものです。
大雨が降った翌朝、寝坊をした女主人が侍女に庭先の花の様子を尋ね、侍女が「昨日と変わりませんよ。」との応えに、女主人が「わかっているのしら?雨で花は散って、葉ばかりの緑になっているはずよ。」という内容です。
さらにこの原題の『知否知否应是绿肥红瘦』には、他にも意味が込められていてドラマの中にも反映されています。
まず1つ目が、明蘭の結婚衣装が緑ということ。中国といえば結婚式(おめでたい時)は“赤”が定番ですが、北宋時代の結婚の習慣では男性が赤、女性は緑の衣装を着ていました。北宋時代“红男绿女”という言葉が流行り、高貴な家庭では大事な日や結婚には男性は赤、女性は緑の衣装を着ていたことによります。
2つ目が、結婚した明蘭が詩の女主人のように寝坊できるほど満ち足りた生活ができるように願いが込められていること。男女の区別がはっきりしていた北宋時代は女性の役割も立場ではっきりしていて、結婚して毎日、早寝早起きをすることなく自然と目が覚める幸せな人生を送れる希望を表しています。
3つ目が、当時の嫡子(正室の子)は赤、庶子(側室の子)は緑の衣装を着る習慣から、庶子の明蘭が正室の子より緑がますます豊かに生い茂るように成長する、という意味が込められています。赤い花は痩せて散るだけだけど、その後に残った葉は豊かに生い茂る(太る)ことから、豊かさを意味しています。
「明蘭」主題歌/OST
ドラマだけでなく、主題歌の「知否知否」も2019年の中国ヒットソングの最有力候補になる人気でした。源題の「知否知否应是绿肥红瘦」のと明蘭の心情を重ね合わせた曲になっています。
1.知否知否 / 胡夏、郁可唯
「明蘭-才媛の春-」の評価
中国の辛口評価サイト豆瓣(ドウバン)でのドラマ評価は7.7/10点となっています。
筆者の感覚では豆瓣(ドウバン)の7.0以上は見るべき作品です。ちなみに前出の「琅琊榜(ろうやぼう)」の評価は9.4のかなりの高評価です。これは見逃せないレベル。
2018年に一時放送禁止となった「璎珞(えいらく)」は7.2となかなかの辛口評価です。
特に女性の視聴者が75%を占め、北宋時代の女性の生き方や歴史に興味をもった人が多かったようです。
「明蘭」 ドラマ概要&DVD・動画情報
原題名:知否知否应是绿肥红瘦(2019年 中国)
話数:全78話
キャスト:チャオ・リーイン、ウィリアム・フォン、チュー・イーロン、ジャン・ジアニン
放送:BS11
「明蘭-才媛の春」あらすじ:
官史・盛鉱の娘の明蘭(チャオ・リーイン)は美しく賢い女性だったが、母親の身分が低かったため盛家の正妻やその娘たちに虐げられていた。そんな中でも、亡き母に教えられた通り自分の立場をわきまえ目立たず慎重に過ごしていた。
そんな明蘭を慕う国公家(王家の次の爵位)盛家の斎衡(チュー・イーロン)と彼に惹かれる明蘭だったが、身分違いの恋に引け目を感じ、その思いはあきらめざるをえなかった。
家族との関係に疲れた明蘭は、旅先でかつて幼いころ母の危篤の時に助けてもらった侯爵家顧家の顧廷燁(ウィリアム・フォン)と再会し、見染められて顧家の女主人となる。
ここから新たに夫を支える明蘭の妻としてまた女性としての奮闘がはじまっていく。
★明蘭出世:盛家庶子⇒寧遠侯爵家二男の正室⇒永嘉郡夫人
この時代、決して表立って活躍はしない女性が陰ながらも逞しく夫の立身出世や家を盛り上げていく当時の世相が色濃く見れて、また人間関係を丁寧に描いている見ごたえのあるドラマとなっています。
※北宋の時代背景は後述(↓↓)
明蘭【登場人物/キャスト】
盛明蘭/メイラン | 顧廷燁/コテイヨウ | 斎衡/サイコウ | 朱曼娘/シュバンジョウ |
チャオ・リーイン | ウィリアム・フォン | チュー・イーロン | リー・イーシャオ |
盛家の庶子。聡明で控えめ。侯爵家の顧廷燁に嫁ぎ夫と家を盛り立てる。 | 侯爵家二男。文武両道の賢人。軍人として頭角を現す。 | 斎国公家の御曹司。母は皇帝の養女。明蘭に一途に思いを寄せる。 | 顧廷燁の側妻。侯爵家の正室の座を狙い、画策する。 |
盛如蘭 | 大奥様 | 盛紘 | 顧偃開 |
チャン・ジアニン | ツァオ・ツイフェン | リュウ・ジュン | リー・ホンタオ |
盛家の三女。天真爛漫で思ったことをすぐに口にする。 | 明蘭の祖母。盛家の重鎮。明蘭を聡明な女性に育てる。 | 盛家家長。文人としてのプライドが高い。日和見主義。 | 顧家長。厳格で廷燁と折り合いが悪い。 |
>>>「明蘭」あらすじ・相関図詳細(外部リンク)
>>>2019年おすすめ中国ドラマランキング・評価を見てみる
「明蘭」を理解する時代背景と豆知識
①北宋時代とは?:唐滅亡後のおよそ50年は五代十国時代という地方に10もの国ができ、激動の時代となる。その後960年に後周の武将・趙匡胤(太祖)が宋を建国する。首都は開封。皇帝の独裁制を樹立し、文治主義(官僚制)を強化した。なお970~1127年の宋と宋衰退後の江南に建てた南宋(1127~1279年)と区別するために「北宋」と呼ばれることが多い。
■時代変遷:隋⇒唐⇒五胡十国⇒宋(北宋)⇒金/南宋⇒元
■同時代の日本・朝鮮:日本は平安時代後期(794~1185年)~鎌倉時代(1185~1333年)、朝鮮は高麗(918~1392年)の時代
②ドラマの治世:ドラマの背景となっている治世は、4代仁宗(1022~1063年)から5代英宗(1063~1067年)にかけてのこと。仁宗の治世は最も長く40年にも渡り、宋の隆盛を誇った時代で”慶暦の治”と呼ばれている。
③科挙の重視:ドラマに登場する顧廷燁や斎衡も受けた”科挙”は隋からある官吏登用制度ですが、宋の時代は文治主義となったため、これまでよりさらに科挙の重要性が増した。科挙に殿試(皇帝の面接)を加えたのもこの時期。男子の立身出世や家の勢力を高めるには、科挙に合格し官僚になる(輩出する)のがいちばんの方法となった。
④文化の隆盛:このドラマの題名にもなっている詩を読んだ詩人にみるように、文学が盛んになり、科学技術が生まれた時代。中国の4代発明といわれる「製紙技術・印刷技術・火薬・羅針盤」が改良され実用化された。
⑤新しい儒教:これまでの儒教(儒学)を体系化した”朱子学”が浸透した。朱子学は儒教を基にしているものの、儒教が家族を重視しているのに対して、朱子学は上下関係、尊婢(差別)を重視している。このことから政治利用されやすかった。ドラマでも男女の区別や家長制度がはっきりと描かれている。
⑥女性の地位:この時代、男女の区別ははっきりしていたものの意外にも女性の社会進出、権利は守られていた。庶民の間では生産活動が盛んに行われ、女性も同じように働いた。また女性の財産相続の権利、離婚・再婚の権利も認められていた。さらに女性は家を盛り上げるために最低限の教養(読み書き)は必要とされ身に着けることが奨励された。これらのことから女性の結婚時の持参金は高騰したといわれている。
また慣習として奴婢・側妻の市場が拡大し、女性の纏足(てんそく)が広がりをみせた。
「明蘭」の宋時代を知るためのドラマ
①「水滸伝(2011年)」:北宋第8代徽宗時代(1100年~1125年)
②「岳飛伝(2013年)」:南宋時代(1103年生~1142年没)
③「天龍八部(2013年)」:北宋時代(970~1127年)金庸原作
④「神雕侠侶(2014年)」:南宋末期(1127~1279年)金庸原作
>>> 中国ドラマ時代劇/武侠おすすめ&評価ランキングを見てみる
⑤「開封府(2017年)」:北宋第3代真宗時代(997~1022年)
⑥「花と将軍(2017年)」:北宋第4代仁宗時代(1022~1063年)
これらのドラマは動画配信サービス「U-NEXT」で見ることができます。今ならお試し31日間無料です。
U-NEXTの詳細は>>> 「韓国・中国ドラマを思いっきり楽しみたい!というときに役立つ見放題・動画配信サービス比較」