映画「パラサイト」の半地下、チャパグリだけじゃない見どころと韓国格差
韓国映画「パラサイト」の中では、韓国の格差がいろいろなかたちで表現されています。
キム一家の住む半地下住宅はその象徴として注目されていますが、映画の中にはさりげない表現で格差を見ることができます。
映画の見方や見どころにもなるその格差(違い)は、ストーリーを展開する上で切っても切り離せないこととして印象に残るものです。
多くは韓国のローカルねた的なものなので、このことからまた違った韓国を見ることができますよ。
もくじ
半地下に住むきっかけ「台湾カステラ」事業の失敗
そもそもキム一家が、半地下に住むようになったのは、父ギテク(ソン・ガンホ)が事業に失敗したため。
その事業というのが「台湾カステラ」のお店で、2016~2017年に韓国で実際に流行ったお菓子です。
韓国では、給料のいい企業に勤めるられるのはごく一部の人に限られ、脱サラして自営業で外食産業に参入する人が多い社会構造です。その時、全財産をかけたり借金をしたりして店を持つことが多く、そのため失敗すれば一文なしというのはよくある話。
ブームにのって稼ぐ人もいますが、儲かるところには大企業(財閥系)が参入するため、大抵は素人感覚の管理や経営ではうまくいかず淘汰されていくことに、、。
台湾カステラはもう少しブームが続くと思われたが、テレビの暴露番組で衛生問題が取り上げられいっきに下火となってしまいました。(後にその暴露内容はウソと判明)
不名誉なことに、いまだに創業の失敗事例にあげられることが多いです。(今はチキン店かな。)
実際の台湾カステラ(↓↓)。台湾では現烤蛋糕(シェンカォウダンゴウ)と言われます。かなり大きめのカステラで、淡水の「源味本鋪現烤蛋糕」と「縁味古早味現烤蛋糕」が有名で、台北では「双連現烤蛋糕 大川本舗」が人気です。
どの地域でも現烤蛋糕はおいしいところがあるので、ぜひ食べてみて!
食後のデザートは、源味本鋪の「現烤蛋糕」をヤラカシたよ〜♪( ´▽`)
ようするに巨大なベビーカステラって感じ〜w#士林夜市 #源味本鋪古早味現烤蛋糕 pic.twitter.com/8smJyMaPPo— たろさー (Taro Mizuno) (@Mac_daioh) February 13, 2019
なんとうれしいことに、日本でもその台湾カステラを味わえる!
東京の高円寺にある「新カステラ」というお店です。日本のカステラと違い、生地はふわっふわで、シフォンケーキをしっとりさせた感じかな。
プレーンのカステラは、甘すぎずついつい食べてしまうおいしさ。季節のカステラは毎月変わる楽しみがあります。通販もあるので、ぜひ食べてみてね。結構行列ができていたので、日本でも流行る?!
映画パラサイトで出てくる「台湾カステラ」。ふわっふわっで美味しい。日本では高円寺の新カステラでいただけます。通販はホームページから。@Shinkasutera pic.twitter.com/TPyKUmtlzr
— 韓流ドラマ・韓国タレント情報館 (@hanyasimaru) February 20, 2020
新カステラお店情報
住所:東京都杉並区高円寺北3丁目21-5
電話:03-6383-1163
営業時間:10:00~20:00(なくなり次第終了)
ホームページ/通販:https://shincastella.com/
豪華トッピングに牛肉!チャパグリの格差現実
映画を見た後、あのおいしそうな「チャパグリ」を食べたい人が続出。実際に発売元の農心では売上が61%も伸びたんだとか。それに合わせて公式なレシピ動画を11か国語で配信して、人気となっています。
もともとは2013年のバラエティ番組で紹介されたメニューで、爆発的に人気になったものです。インスタントのジャージャー麺「チャパゲティ」とインスタントラーメンの「ノグリ」を混ぜて作ったため「チャパグリ」と呼ばれます。
普通は具なしですが、そこに韓国のブランド肉「韓牛」をトッピングとして乗せたところが皮肉っぽく描かれています。
韓国では牛肉は高めの肉で、ちょっと贅沢をしたいときや特別な時に食べられます。よくドラマでは給料が入った時に「牛肉を食べに行こう!」という場面が出てきます。
韓牛は日本でいえば、松坂牛等のブランド肉のような扱いで、販売も韓牛と表示され扱いも値段も別格です。
「パラサイト」の映画飯チャパグリの作り方/レシピ
(材料)
農心チャパゲッティ、農心ノグリ、お好みの具
(作り方)
- 1100mlの水を沸騰させ、2つの麺とかやくを入れ4分30秒ゆでる。
- 150mlの湯で汁を残して、お湯を捨てる。
スープを混ぜ合わせやすいように、少量の湯で汁を残すのがポイント。 - チャパゲティのスープの素全部、ノグリは半分のスープの素を入れて、チャパゲティについているオリーブオイルも入れる。
- よく混ざるように炒めて水気をとる。
パラサイトするために身分偽装?!耳に残る「ジェシカ・ジングル」
出演シーンは短いですが、妙に耳に残るメロディが「ジェシカ 一人っ子 イリノイ シカゴ、、、」というやつ。アメリカでは“耳から離れない!”といって、話題になりました。
キム家のギジョン(パク・ソダム)が、美術教師になりすまして初めてパク家を訪ねる時にチャイムを押す前に兄ギウ(チェ・ウシク)とともに口ずさんだものです。
自分の身分を偽るために確認の意味で口ずさんだフレーズですが、韓国では馴染みのメロディで、高校の歴史や地理の暗記が必要なことを、このメロディに合わせて覚えたりします。
もともとは韓国の歌で「独島(竹島)は私たちの土地」という歌の一節です。
韓国では大ヒットした曲なので、誰もが知る曲で語呂合わせをするのに、ちょうどよい長さとテンポから学生に広まったもので他意はないです。
韓国では「留学」が自分のスペックを高める必須条件となっていて、就職の際の履歴書に留学経験を書けるか書けないかで選考の確率が左右されるとも言われています。
もちろん、裕福な家庭では留学は当たり前です。留学経験があるということは、その家庭の社会的レベルをはかる一つの指標となっているのが悲しい現実です。
格差を表すにおい「切り干し大根」
映画の中で見えない格差として演出されているのが「におい」です。
金持ちと下層の人は決して交わることがなく、お互いのにおいを嗅ぐ機会もないところに見えない壁(格差)があります。いわゆる「住む世界が違う」というやつです。
キム一家がパラサイトするお金持ちパク社長は「古い切り干し大根のにおい、布巾のにおい、地下鉄に乗った時のにおい」を軽蔑しています。どれも一般的なにおいですが、これらはパク社長一家はかぐことのない匂いで、キム一家はこの匂いを放っています。ただ本人たちは気づいていません。
唯一これらの匂いの接点は、お金持ちの家の家庭教師、家政婦、運転手です。
よくその家の匂いとか電車の中の汗の匂いとかありますよね。匂いは日常なのでその違いで住む世界の違い(=格差)を絶妙に表現しています。
特に切り干し大根は韓国ではムマルレンイ(무말랭이)といわれて、キムチに使ったり和え物でおかずとしてよく食べられます。庶民には馴染みの深い食材です。