中国歴史ドラマで楽しく学ぶ三国志と人物(後漢~三国時代)
日本でも人気と知名度を誇る中国の歴史の1つ『三国志』は、いろいろな視点で映画化、ドラマ化されています。
その中には三国(魏・蜀・呉)の建国とそれに関わる人々全体を扱ったものと、特定の人物を中心に視点を変えたものと様々です。
ドラマ(映画)化されたものは中国の「史記」「漢書」と並ぶ二十四史の1つ、陳寿が著した正史『三国志』や明時代に書かれた歴史小説『三国志演義』が元になっていることが多いです。
ここでは、中国の歴史としての三国志の全体を知りたい人向け(基本編)から、特定の人物の活躍、逸話からみた三国志(応用編)、三国志の中の女性(応用編)等ドラマの見どころポイントを交えながら歴史(史実)との関連を見ていきます。
もくじ
ドラマを楽しむための三国志の主要人物関係と略歴
後漢(25年~220年)→三国時代(220年~280年)
三国時代の建国と主要人物関係
- 魏(華北)-220年、献帝(劉協)→曹操の息子曹丕へ譲位し魏国建国~
263年、蜀を併合→265年魏の元帝帝位を司馬炎に譲位→晋国の誕生
【関係人物】董卓、呂布、曹操、曹丕、郭嘉(軍師)、司馬懿(軍師)、献帝、伏皇后、曹節 - 蜀漢(四川)-221年、劉備が魏国に対抗して漢の後継と称して建国~
263年、劉備の息子劉禅が都を魏に開城して滅亡
【関係人物】劉備、諸葛孔明(策士)、趙雲(武将)、関羽(武将)、張飛(武将) - 呉(江南)-222年、夷陵の戦いで劉備率いる蜀漢軍に大勝。魏の影響下から呉を建国~
280年、晋の武帝(司馬炎)に降伏。司馬炎が中国統一を成し、西晋となる
【関係人物】孫権、周瑜(武将/軍師)、魯粛(武将/軍師)
>>> 「登場人物から知る三国志」を見る
三国志に関する略歴
(後漢時代)
184年 黄巾の乱→平定(曹操)
189年 少帝弁から帝位を引き継いだ劉協が献帝となる
196年 曹操、献帝を保護
208年 赤壁の戦い/曹操VS劉備&孫権→天下三分
214年 後漢の伏皇后の幽閉
215年 曹節(曹操の妹)が献帝の妻(皇后)となる
(三国時代)
220年 曹操死亡→曹丕、献帝譲位(山陽王へ)→魏国建国
221年 劉備、蜀漢を建国
222年 孫権、呉を建国
234年 五丈原の戦い(諸葛孔明VS司馬懿)、山陽王(献帝)死亡
249年 司馬懿クーデター
265年 司馬懿の孫・司馬炎が魏の元帝から*禅譲→晋建国
280年 晋が呉を滅ぼし天下統一→西晋成立
*禅譲:世襲ではなく帝位を譲りうけること
中国歴史ドラマ:三国志 Three Kingdoms(基本編)
三国志を題材にしたドラマの中でも、史実に近く『三国志演義』に忠実に作られた超大作です。
三国志の全体を知りたい人や主要キャラクター(曹操・劉備・孫権)の人物像を知るのにおすすめの三国志の基本ドラマ。主要キャストだけでも100人以上、ドラマを通してのべ300人のキャストが登場するスケールの大きさです。
ドラマは190年、後漢に献帝(当時9歳)を擁立し、実権を握る董卓(とうたく)に対抗する曹操の大敗から始まります。この時点で曹操、劉備、孫堅(子:孫権)は反董卓連合軍の武将として参加しています。
その後、有名な数々の戦を経て最終的に魏の司馬炎が晋を建国するまでを壮大にドラマ化しています。
またキャストに中国・香港・台湾の実力派で、現在もドラマの主役級のスターが出演しているのも見ものです。
三国志 Three Kingdomsドラマ・キャスト情報
- 原題:三国 (2010年)
- 話数:95話(46分)
- キャスト:チェン・ジェンビン(曹操)、ユー・ホーウェイ(劉備)、チャン・ボー(孫権)ルー・イー(諸葛孔明)、ビクター・ホァン(周瑜)、ニエ・ユエン(趙雲)、ルビー・リン(孫小妹)、チェン・ハオ(貂蝉)
★歴史度:史実>フィクション
★時代背景:後漢末期~三国時代末期
★見どころ:
①三国(魏・蜀漢・呉)の建国の行方を決める戦いシーンの再現
映画にもなった「赤壁の戦い(曹操vs劉備&孫権)」はもちろん、「官渡の戦い(曹操vs袁紹)」「長坂の戦い(曹操vs劉備)」「五状原の戦い(蜀・諸葛孔明vs魏・司馬懿)」を映画並みのクオリティで再現している迫力の戦闘シーンは圧巻です。
②曹操・劉備・孫権のリーダー像の比較
カリスマ性のある大物の器の曹操、部下の引き立てと支えでリーダーになった劉備、父・孫堅と兄・孫策から受け継いだ豊な南方の土地を支配下に、名門の余裕を見せる度量の広さと朗らかさを持つ孫権の3様の違いが戦略にも影響しています。
③英雄を支える頭脳・戦略家の対決
争いに勝ち、領地を拡大するために必要だったのが、戦の戦略を考える軍師(策士)です。
それぞれの英雄には優秀な軍師が必ず一緒にいます。その軍師をいかに自分の味方につけ、戦略を実行するか否かの決断が勝敗を左右するだけに、優秀な武将とは切っても切れない重要人物です。
三国志の軍師と武将
視覚的な武将の戦いは迫力、戦略は頭脳、心理戦でもあることがよくわかります。
魏の曹操&郭嘉(かくか)と司馬懿(しばい)
vs
蜀漢の劉備&諸葛孔明(しょかつこうめい)
vs
呉の孫権&周瑜(しゅうゆ)、魯粛(ろしゅく)
中国歴史ドラマ:三国志 Secret of Three Kingdoms(応用編)
後漢最後の皇帝の献帝(劉協)に弟(劉平)がいたというフィクションを加え、後漢の復権、存続をかけて曹操へ立ち向かう。劉平はフィクションですが、周りを支える人物は史実上の人々で、「もしも」の設定から独創的なドラマになっています。
後漢のラストラストエンペラー献帝
史実では、献帝は帝位を引き継ぐも朝廷の権力闘争が続き、献帝は都を離れ生死もわからない状態だったようです。その後、196年に魏の曹操が献帝を保護し権威は保たれるも、曹操の傀儡王としての立場に変わりはありませんでした。(その後、譲位)献帝の妻が伏皇后(伏寿)、後に曹操の妹の曹節が皇后となります。
このドラマの中で劉平と共に中心人物の司馬懿は、魏の策略家として知られ、後に曹操の軍士となる人物です。その孫の司馬炎が三国時代を終焉させ統一して西晋を建国した人物となります。
三国志 Secret of Three Kingdomsドラマ・キャスト情報
- 原題:三国机密之潜龙在渊 (2018年)
- 話数:54話(45分)
- キャスト:マー・ティエンユー(劉平)、エルビス・ハン(司馬懿)、レジーナ・ワン(伏寿)、ドン・ジェ(唐瑛)
★歴史度:史実<フィクション
★時代背景:後漢末期~三国時代初期
★見どころ:
①献帝の妻、伏寿(伏皇后)と劉平の関係
献帝の正妻の伏皇后は、前漢の有力政治家一族の末裔で由緒正しき家柄。史実では夫献帝の復権を願って曹操の暗殺計画を企てた罪で214年に幽閉されています。(その後、獄死)
ドラマでは夫の献帝を支えるように劉平に寄り添うことになります。
②先帝、少帝弁(劉弁)の妻唐瑛(唐姫)と司馬懿の関係
劉弁の妻、唐瑛は夫が暗殺された後、故郷に帰り頑なに再婚を拒んだといわれています。後にそれを見かねて献帝により都に呼び寄せられ弘農王妃に封じられています。
その夫を亡くした唐瑛と司馬懿はお互いに惹かれることになります。
※弘農王:少帝弁(劉弁)の廃位後の呼び名。歴史的には皇帝として認められてない。