ドラマ「馬医」でみる“昭顕世子(ソヒョンセジャ)の事件”とは?

昭顕世子(ソヒョンセジャ:1612年~1645年)は李氏朝鮮の第16代仁祖の長男で1625年に王世子となった。

1637年仁祖と後金で交わされた和議によって人質として後金(中国)へ行くことになる。その後1645年にその人質の身分が解放され朝鮮に帰国するもわずか2ヶ月で死亡する。

この急死が“事件”としていまだに陰謀・暗殺説のもとになっているわけです。そのくわしい背景をみてみましょう。

 

 

【なぜ人質に?】

李氏朝鮮の第16代仁祖(1595年~1649年)は後金が誕生する前の明王朝よりの国家運営をしており(親明排金政策)、これに反感を持った後金が朝鮮を侵略した。

後金は中国北部の女真(満州)族の国家で(李氏)朝鮮には近く、当の李氏朝鮮は常に越境付近の北伐対策に悩まされており、1636年~1634年に起こった「丙子胡乱」で決定的となった。(⇒丙子胡乱とは?

 

これは後金(後の清)が李氏朝鮮を制圧した争いで、これに負けた李氏朝鮮は中国(後金)を兄とし、朝鮮を弟とする屈辱の和議を結んだ。

この和議の内容に王の長子と次男を差し出すことがあったため、長男の昭顕世子と弟(次男)の鳳林大君は人質として後金に行くことになる。

 

中国と(李氏)朝鮮の絶対的な冊封体制はこの時にできたもので、後の李氏朝鮮に長期にわたって影響を与えることになる。

1895年の日清戦争によって李氏朝鮮が独立を認められるまで約250年も続いている。

 

※中国の状況:明(1368年~1644年)/後金(1616年~1644年) → 清(1645年~1912年)

※冊封体制とはいわゆる君臣関係を伴う外交政策の1つ。封建制と同義で扱われることもある。

※当時の朝鮮は中国北方の女真族を“蛮族”として蔑んでいた。そのためその女真族の建国した後金(清)に対しては嫌忌的な外交を行った。

 

【陰謀!?毒殺説】

現在に至るまで昭顕世子の死は暗殺や毒殺など様々な憶測をよんでいます。しかも実の親やその臣下によるものであることが有力です。

これが“陰謀”として事件性のあるものとして表現されます。

 

記録によれば昭顕世子の死因はマラリア病とありますが、当時の朝鮮では既にマラリアに関する治療は確立していたことが文書に記されています。

また人質となっていた清から帰国して2ヶ月後の急死だったことと、死亡したときの様子が毒殺の症状と同じ(体に黒斑が出ていた)こと、人体の7穴から血が出ていたことが毒殺説の根拠となっています。

近年では薬を誤って飲んだことが有力説となっていますが、医師の処方以外に薬を独断で飲むことはありえないのでここでも疑惑が浮上します。後にこの時の医師を追求すべきと上訴した姜氏(昭顕世子の妻の実家)は粛清されています。

 

【父親(仁祖)との確執】

もともと第16代仁祖の長男として王世子(次の王)の地位にあったが、そのころ中国で勢力を拡大していた後金(後に清となる)に人質として赴き8年を過ごした。

そのため朝鮮国外の文化に触れる機会が多くあり考えも大きく影響されたといわれる。親清的だったため祖国の朝鮮では危険分子と見なされていた。

 

また清で触れた西洋文化やカトリックの影響を受けたっともいわれ、更に清で行っていた経済活動を快く思わなかった(一説には謀反を企てたと疑われた)仁祖から冷遇をうけた。

 

生前のみならず死後もその処遇は続けられ家族にも及んだ。王世子にも関わらず葬儀は簡素に行われ、仁祖は1度も墓を見舞うことはなかったという。また家族はことごとく血縁を絶やすような処遇にあう。

世子嬪姜氏は仁祖を殺そうとしたとして死罪の上、家門は根絶、3人の息子は流刑となりうち上2人はすぐに謎の死を遂げる。

 

さらに通常王の後を継ぐのは代々長子が優先となっていますが、それもかなわず仁祖の次には昭顕世子と人質になった弟の鳳林大君第17代孝宗となっている。

 

昭顕世子に関わるドラマ

昭顕世子の事件の出てくるドラマは「馬医」(昭顕世子の弟、孝宗時代)の他に、次のようなものがあります。

○「華政ファジョン」(2015年/MBC)…仁祖(昭顕世子の父)の前の時代
○「三銃士」…2016年BSで放送(2014年/tvN)
○「花たちの戦い-宮廷残酷史」(2013年/JTBC) …昭顕世子と仁祖の関係に詳しい
○「推奴チュノ」(2010年/KBS)
○「タムナ」(2009年/MBC)
○「必殺!最強チル」(2008年/KBS)
○「傀儡王仁祖」(1986年/MBC)

 

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