李氏朝鮮王の呼び名のギモン “祖”と“宗”の違い
李氏朝鮮王朝(1392年~)を築いたのは、太祖(テジョ)で名前を李成桂(イ・ソゲ)といいます。ちなみに歴代王の姓はすべて“李”です。
では“○祖”や“○宗”はどのようにして付けられているのでしょうか。これらの呼び名を“廟号(びょうごう)”といって東アジアの国で皇帝や王が亡くなった後に先祖の廟(宗教的なお墓)に祭るために付けられるものです。先祖と供に祭るため、歴代王と同列になるために付けられるものです。ですので生前はつきません。
(余談)よく時代劇ドラマでは出来事の起こった年や勅令などで年号が使われますが、年号はその時統治している王の廟号ではありません。
よく括弧書きで(○祖/宗○○年)とあるのは後世の使い方です。当時の年号は十干十二支(じゅっかんじゅうにし)を用いた60進方の年号が使用されていました。
例:【日本】1592年文禄の役⇒【朝鮮】壬辰倭乱(ジンシンワラン、임진왜란、イムジンウェラン)1592年は壬辰年にあたる。
まず“祖”ですが字の通り、事柄を始めた人に使います。よって李氏朝鮮王朝を始めたの李成桂は“太祖(テジョ)”となっています。その後の王は太祖のような功績(新しい試みをして功績を残した)、あるいはそれと同等の功績があった王、国の危機を救った王に対して“祖”が用いられています。有名なところでは第7代世祖(セジョ)、第21代英祖(ヨンジョ)、第22代正祖(チョンジョ)がいます。
一方“宗”は継承する徳のある王、つまり先王の教えを受け継いで国を守る徳のある王には“宗”が用いられました。第4代世宗(セジョン)、第19代粛宗(スクチョン)が有名です。
【おまけ】
朝鮮王朝の王の姓は“李”であったため、王妃・側室には“李氏”がいないのが基本。法律で同姓同士の婚姻が禁じられていた(同姓同本不婚)ためで、同じく歴代王妃を輩出する家柄(両班)も決まっていた。身分を厳しくする儒教の影響で父系主義の家族制度を象徴するもの。発祥を同じくする父系家族集団を“本貫”といい(同本の“本”は本貫を表す)、戸籍にはかならず記載された。朝鮮の5大姓に金・李・朴・崔・鄭があるが、例えば李氏朝鮮王朝の王は全州李氏(全州出身の李氏)、伽耶(加羅)王族系の金氏は金海金氏、新羅王族系の金氏は慶州金氏である。
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