「太陽を抱く月」で注目の役所:観象監(クァンサングァム)

「太陽を抱く月」では題名が示す通り、宿命や運命といった天文分野の話が出てきます。以前説明して星宿庁もその一つです。

また歴史ドラマには良く旧暦を用いた年号が出てきますが、これも暦(天文)に関わることなので知っていて損はないでしょう。

歴史ドラマに多くはでてきませんが、大局的にドラマをみればその重要さが納得できます。

 

 

【観象監(クァンサンガム:관상감)】

天文・風水地理・暦とその推算法・占術・測候・水時計などに関する業務を担当する官庁(部署)。ここでは、天文学、地理学、命課学を研究する。現在の気象庁のような役を担う役所。

高麗の時代の「書雲観(ソウングァン)서운관」という天文観測をする部署があり、朝鮮時代もこの役所を引き継いだ。1392年の李氏朝鮮が創建されたころより李氏朝鮮王朝が終焉する第26代高宗のころ(1894年)まで続いた。

1466年第7代世祖のころ、「書雲観」から「観象監」に改名された後、第10代燕山君のころに一時「司暦署」となり、第11代中宗のころにもとの観象監に戻っている。

ドラマの中には頻繁に出てくるものではないがが、王室にとっては重要な部署であり行事や歴代王(王族)の陵墓や王宮、屋敷もここの助言によって決められていた。また王の義務で最も重要な「世継ぎを残す」ことも、その相手や日取りも決められていた。(ドラマの中にもその場面が出てきます。)

 

【命課学(ミョンガハク:명과학)】

命課学というのは、王室の夫婦の交わりや吉日択一、吉凶禍福の占卜(せんぼく)を担当する部門。この部門の官職の一つが命課学教授(従六品)である。

一見、風水や占術など儒教の教えに相反することを行っているように思えるが、天文学や暦学は中国の陰陽五行説に基づくもので現在の風水や占術とは一線を画している。つまり陰陽五行説は陰陽道における暦や天文を基本とした技術体系のことで、宗教ではない。

★『陰陽道』:陰陽五行説の基本は、木、火、土、金、水である。天の動きと人の世の動きには関係があるという考えから、万事に吉凶を天文の変化から予知し、これによってどう対処してゆくかを決めるもの。特に天文学や暦学においては陰陽五行の影響は大きい。

また五行は天に由来する五つの徳、仁・礼・信・義・智に対応しており、この「五徳」あるいは「五常」と呼ばれる徳が王朝を支えると考えられた。これは儒教の教えに通じるものがあり、儒教は、五常(仁、義、礼、智、信)という徳性を拡充することにより五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持することを教える。

★『地理風水』:大地におけるの流れを重視し、龍脈からの気の流れが阻害されておらず、運ばれてきた気が溜まり場になっているような土地に都市や住宅を建造しなければならないとする。そうすることによってその地方や一家に優秀な人材が輩出され、冨にも恵まれると考えた。陰宅すなわち墳墓も同様であり、祖先がいる場所が子孫に影響を与えるとし、土地がよければ子孫は繁栄し、悪ければ没落すると考えられている。すなわち、これが徳を重んじることにつながる。

ご存知のように韓国の国旗は通称『太極旗』といわれ、これは儒教経典の一つである『易経』繋辞伝にある「太極-両儀-四象-八卦」の宇宙生成論に由来している。また韓国でよく使用される5色の色(青、赤、黄、白、黒)は陰陽五行説の色で、こんなところにも思想が現れているので現代韓国の生活に奥深く根付いているのかもしれません。

>>韓国料理で見る「陰陽五行説

 

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