ドラマ「ごめん、愛してる」から見る、韓国の社会・家族事情

日本でもリメークされた韓国ドラマ「ごめん、愛してる」のドラマでモチーフとなっているのが“海外養子と家族への憎愛”です。韓国ドラマの定番設定として財閥、社会格差、復讐と同じようにドラマ設定として多いのがこの“養子”による家族関係を背景にしたもの。

よく生き別れた兄妹とか、親に捨てられた孤児など出演者の悲運な境遇に使われています。最初はドラマだしそんなこともあるだろう、くらいにしか思っていなかったのですが、あまりにも多い境遇設定なので恐らく社会文化として養子が一般的なのだろうと推測出来ます。

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私はドラマでは“養子”の設定が出てきた時には、そこまで共感できない部分(あまり現実味がない)があるのも、日本とは違う社会的背景が影響しているのでしょう。

 

ドラマ「ごめん、愛してる」から韓国の養子事情を知る

最近2015年の調査によれば海外養子縁組の世界ランキングでは不名誉の第3位という結果になっています。ちなみに1位は中国、2位はエチオピアです。

ドラマ「ごめん、愛してる」での養子先はオーストラリアでしたが圧倒的にアメリカが多いようです。韓国保健福祉部(日本の厚生労働省)の統計によると2014年にはアメリカ人の養子になった子どものうち95%が未婚出産の子どもなのだとか。2014年に未婚出産の子どもは8459人。そのうち10%のおよそ800人前後が海外養子になっている計算になります。

特に儒教の影響で血統主義が強いため、未婚で子どもを産んだ娘を絶縁する傾向にあり、社会から受け入れられないことや生活の困窮などの理由から子どもを手放すことが多いようです。
ではなぜ「養子縁組」がドラマにも頻繁に使われるほど社会的に一般化しているのでしょうか。

ドラマ「ごめん、愛してる」の社会的背景にせまる

ドラマ中ではムヒョクは幼いころ児童養護施設からオーストラリアへ養子に出され、双子の姉は韓国国内にとどまり離ればなれになっている状態でした。そのためムヒョクは本当の母親は貧しさから仕方なく自分を養子に出したと憶測しています。

韓国では2000年以降、養子縁組の事情は海外養子よりも国内養子縁組や里親制度の充実をはかり海外縁組の数は減っています。もともと韓国の養子制度は1953年に休戦となった“朝鮮戦争”を発端としています。朝鮮戦争に関係する戦争孤児の救済のために、朝鮮戦争以降20万人以上が海外養子となり、そのうち3/4がアメリカで養子となっています。

特に1965年以降はアメリカの移民法が改正となり、アメリカはベトナム戦争に協力した韓国を同盟国として扱い、比較的大きな移民枠を設けたため経済的理由だけでなく政治的な理由から家族ぐるみで移民する人が増えたのが特徴です。

ある意味、国策として養子縁組や移民を推し進めたこと、比較的養子や移民に際しての抵抗感やハードルが高くないことなどから子どもを幸せにする選択肢としてあったのではないかと思います。
家族や血統を重んじる韓国ですが正統からはずれると切り捨てられてしまうのはなんとも皮肉ですね。国の事情が違えば人々の意識も違う典型のような気がしてなりません。

 

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