ドラマ「トッケビ」で見る韓国で初雪が重要な意味をもつ理由(ジンクス)とその演出
ドラマ「トッケビ」は高麗時代の武臣キム・シンが無念の死を遂げ、神によって永遠の命を持つ“トッケビ”として何百年もの間、人々の死と生に関わりその宿命を終わらせることができる運命の“トッケビの花嫁”を探しだすファンタジーロマンスのドラマです。
ドラマのヒットはもちろんのことトッケビ役のコン・ユの5年ぶりのドラマ、最優秀男優賞を取ったことでも注目されることになったドラマです。
このドラマのOSTは音楽チャートで首位を独走し、Aileeの「初雪のように君に行く」は特に人気のOSTです。
この曲の歌詞やメロディはもちろん題名からして多くの韓国の人々の心をとらえたようです。この“初雪”は韓国の人々、特に男女にとって特別なものとしていろいろなドラマにも出てきます。
このドラマ「トッケビ」では“運命”と“約束”に関連して演出されています。
「トッケビ」で知る韓国の人々にとっての“初雪”の意味とは?
このドラマの中で何かをする時として“初雪の時”というのが契機になっています。「初雪の時に胸に刺さった剣を抜く」「初雪の時に必ず“トッケビの花嫁”に会いにくる」など初雪がらみが多くあります。
しかもその場所は約束の場所(トッケビとなった場所)です。日本の韓流ブームの先駆け「冬のソナタ」でも初雪が効果的に使われていましたよね。
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実生活でもその年の初雪が降るとニュースになり、多くの人は友達や親しい人達と報告し合い一緒に過ごしたりその初雪の状況を共有したりします。それは「初雪は特別な日」と言われ、恋愛にまつわるジンクスも多く存在していることと関係があるようです。
- 雪が降った後に足跡をつけながら願いごとをすると叶う
- 初雪の日に好きな相手とデートするとうまくいく、仲が深まる
- 初雪の日に告白すると幸せになれる
- 初雪を恋人や親しい人と見ると永遠に一緒にいられる
「初雪の日に会いましょう」は多くのカップルが使う言葉で、あらかじめ初雪の日の待ち合わせを決めておくことも多いとか。これは韓国では有名な詩人、鄭浩承の詩「初雪の日に会おう」に書かれている一節です。その詩を紹介します。
(前略)
なぜ初雪降る日は誰かと逢いたくなるのだろう
多分それは互いに愛し合う人々だけが
初雪降る日を待っている為だろう
初雪のような世が二人の間にいつか現われることを
希望するためだろう
私も一時そんな約束をしたことがある
初雪降る日、「石」喫茶店で逢おうと.
初雪が降れば一日中でも待って
必ず逢おうと約束したことがある
・・・・・(続く)
この初雪効果は「トッケビ」でもキム・シンとウンタクが運命の絆で結ばれていることがよくわかる演出です。
男女だけではない、韓国で“初雪”が話題になるワケ
おもしろいことに“初雪”は昔の韓国においては今で言うエイプリルフールのような日として人々の生活にあったことが記録に残っています。
風習としては高麗時代からあったようですが、有名な出来事に1418年李氏朝鮮第3代太宗が兄の定宗に初雪を体によい薬だと言って献上しようとしたという話しが残されて(世宗実録1巻)います。
お互いにだまし合いをして許されるくらい機嫌のいい日ということで、その初雪の日が喜ばしい日というのが分かります。
なぜ初雪が喜ばしいのか?
それは韓国が昔から農業が人々暮らしの中心にあったためです。
昔の韓国では初雪を新雪(新設)とよび国をあげての行事、新設祝賀会(新雪賀禮)を行ったとあります。その祝賀の席で高麗時代の文人、李奎報が王に献上した祝いの文にその初雪の喜びと賛美の理由をみることができます。
それは、初雪が農地を浸し土地を生き返らせるために国全体がお祝いをしたと記されています。
冬に雪がしっかりと降れば特に大麦育ちがよくなったため、国全体が喜びにあふれていたことを“踊り出す”という表現をしています。農業に必要な初雪が降れば国全体が祭りを行い、いたずらもささいな事という韓国の昔の風景を物語っています。
その土地の生活と密接に関わっているからこそ、ここまで“初雪”が韓国の人々にとっては一大イベントであり習慣やジンクスとして残っているのでしょうね。