韓国時代ドラマでみる宮中の女社会「内命婦(ネミョンブ)」
韓国ドラマの中では後宮が取り上げられるときによくこの“内命婦ネミョンブ”というのを聞くのではないでしょうか。女官(宮女)や後宮を統率する役割を担う組織です。ここで取り締まり(管轄)するのは階位のある女官だけです。雑用を担う奴婢(ムスリ)は女官の下に位置しますので階位はありません。また女官のように一生宮廷から出られないのではなく、通いで仕事をしていました。(奴婢の管理は内需司ネスサで行う:王の財産を管理する官庁)
内命婦のいちばん上にたつのが王妃(中殿)です。王妃は1人ですので階位はありません。その次が世子嬪(後の王妃)です。側室は階位のある女官の中では上位になります。この内命婦に関しては王妃の権限を守るために、王は干渉しないのが慣例となっていました。(実際には王の助言に関して最終的な判断をするのが王妃。)正五品以下の女官に関しては職務が与えられました。世子宮では従五品以上が職務なしの側室扱いです。後に世子が王になれば従五品以上は品位があがります。(世子嬪⇒王妃、良悌⇒嬪)
後宮(従四品以上)に入るためには通常、王との婚姻関係を結ぶための儀式として“揀擇カンテク”という選抜試験のようなものがあります。通常の王妃を選ぶのと同様です。それ以外では女官から後宮というパターンがあります(稀なケース)。特別尚宮/承恩尚宮といわれるのがそれです。有名な人に第19代粛宗の禧嬪張氏、淑嬪崔氏、第21代正祖(イ・サン)の宜嬪成氏がいます。「宮廷女官チャングムの誓い」「トンイ」に詳しい。
※官位は正一品~従九品まで。従五品以下の女官を内人(ナイン)とも呼ぶ。
※通常上位の尚宮になるためには25年~35年くらいの歳月がかかったようです。尚宮になると給与が支給され今の貨幣価値に換算すると200万/年程度。その他に米・豆・魚などが支給された。
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