ドラマ「チャングムの誓い」で見る李氏朝鮮の台所“水刺間(スラッカン)”
ドラマ「チャングムの誓い」で前半ジャングムが宮女見習いから最高尚宮となる宮廷の台所が“水刺間(スラッカン)”です。
【水刺間 スラッカン 수라간】
宮廷内には様々な役を担う部署がありその中で水刺間は王や王族・王室関係者のほか外国からの謁見客への食事を担当していた部署のことです。また王宮で催される宴会や行事に必要な食事もまかなっていました。王の食事を“水刺(スラ)”といい当時は1日5食もの食事をとっていたようです。
王の食事を担当する厨房役は水刺間でしたが、他にも食事の配膳をするのは“退膳間テソンカン”、食材や物品の管理をするのは“司饗院サオンゥオン사옹원”という別々の機関でした。
王が口にする前には毒見役の宮女を3人通すようになっていました。李氏朝鮮王朝では王の毒殺騒動が度々起こっており、王宮での権力争いの熾烈さが分かります。
料理の基本は“薬食同源”であり、健康な食事こそが健康な体を作り、普段のバランスのとれた食事は病気の予防と治療に役立つという考えです。
中国の漢方と朝鮮の食事療法が合わさったもののようです。朝鮮の薬食同源の基本は陰陽五行説といって5つの味(甘、酸、辛、苦、塩)と5つの色(黒、白、黄、赤、青)、つまり五味五色のバランスが取れると健康に良い食事になるという考えです。味はもちろん色どりは食欲増進につながり消化も促されるということです。
<おまけ情報>
チャングムの頃(第11代中宗1488年~1544年)のキムチは現在のように唐辛子を使用しておらず、辛くありませんでした。
もともとキムチは7世紀ころの野菜の塩付けを起源としており、12世紀ころに香辛菜類が加わってキムチの独特の味がつくられるようになったようです。
これに唐辛子が入るのはまだ後のことで16世紀に韓国に伝来した唐辛子が19世紀頃にキムチに使用されるようになったようです。
また“キムチ”は野菜の塩付けを意味する“沈菜チムチェ”が時を経てキムチとなりました。(※諸説あります)