ドラマに見る李氏朝鮮王朝の慣習:葬儀

 

李氏朝鮮時代の葬儀は基本的に儒教のしきたりに沿って行われていました。よくドラマで王や王妃が亡くなった時、女官を含め関係者が白い装束をきています。また今でも歴代王と王妃の墓が墓陵として残っているように土葬です。よくドラマに出てくるシーンを簡単に説明します。

 

●朝鮮王朝の儒教の葬儀礼●

まず王は遺言を残さなければならないので、意識がなくなる前に大臣を呼び次の王を誰にするかを伝えます。その後王が息を引き取ると以下の手順で儀式が進行していきます。

葬儀

屩(キョク):息を引き取った最終確認のために、新しい綿を鼻の下におき、呼吸を確かめます。

既絶乃哭(キジョルネコク):死亡が確認されるとすぐに号泣する儀式。

皐復(コボク):死者から抜け出た魂を呼び戻す儀式。招魂ともいう。亡くなった王の服(復衣:ボギ)を内官の1人が持って屋根に上がり、北の方角に向かって立ち左手で襟、右手で服の下を持って「上位復」を3回叫ぶ。(「王の魂よお戻りください。」)その後すぐにその服を下に投げる。下で待っていた内官がその服を受け宮中の王の遺体の上に被せる。

※一般でも同じように行われていた。屋根に上り故人の上着を大きく振り「故人の名前+復、復、復」と叫ぶ。これでその人が亡くなったことを知らせる意味もあった。現在ではほとんど行われていない。

王の逝去が知らされると、王室や官僚たちは葬儀の準備を始めます。王子と大君以下の子孫、王妃と王子妃、王女の全員が冠と上着を脱ぎ、髪を解き、金、玉、翡翠、ノリゲなどの装身具を外した。この頃は“白”(生成り)が喪の色となっており綿と麻で作られていた。亡くなって5日間で遺体に寿衣を着せて入棺する儀式が行われる。この時王の遺体に触れるのは内官のみ、王妃は女官のみでした。一連の儀式が終了すると5日目に新しい王の即位式が行われた。(詳しく年表をみれば王の交代は必ず5日あいています。)

葬儀2 装束

政府省庁では中央と地方に公文を発して都城と地方の官庁を通じて国喪を全国に宣布した。この時期五日間は、生活用品のみの売買を除き市場が閉ざされた。また王の逝去から三ヶ月が過ぎて卒哭(喪に服することが終わる)までは、婚礼、音楽の演奏、動物の殺傷が禁じらた。そのため国喪になると、国民は肉も食べられず、結婚もできなかった。

王と王妃の場合の葬礼(葬儀を催す期間)の期間は5ヶ月、正三品以上の高官は3ヶ月、その他の両班や庶民は1ヶ月と決まっていた。葬礼の最後は墓陵への埋葬です。風水思想が強かったため墓陵の場所も風水に基づいて決められた。また朝鮮王朝時代の遺族は服喪(喪中)期間は3年と長く、王が嫡子であるか否かまた身分によって服喪期間に違いがあり短くなることもあった。(己亥礼訟、甲虎礼訴)

【余談】埋葬するまでの5ヶ月もの間、遺体をそのままの状態で保存しなければならなかったため、大量の氷が使用された。その湿気とりには“乾燥ワカメ”を使用していたそうです。使用済(?)ワカメは貧しい人々に分け与えられたということ。。。

 



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